金沢で第63回福建同郷懇親会 170名が同郷の誼深める
1961年の第1回大会以来、今年で第63回を数える「旅日福建同郷懇親会」の金沢大会が、去る10月27日から29日まで二泊三日の日程で、石川福建同郷会の主催により石川県金沢市で開催され、日本各地から170余名の福建僑胞とその家族らが参加した。
27日午後、魏賢任大会委員長と事務局スタッフは、“熱烈歓迎”と書かれた赤い横断幕を掲げて金沢駅新幹線改札口で、各地から次々と到着の同郷を出迎え、親しく挨拶を交わした。
参加者たちは駅から程近い宿舎の「ANAクラウンプラザホテル金沢」で受付を済ませて寛いだのち、夕刻からの開会式と歓迎晩会に臨んだ。
金沢の高級和風中華料理店として知られる「招龍亭」での歓迎晩会を前に、参加者たちは日本で初めて華僑の出資で、華僑が館長を務める併設の「百華美術館」を訪れ、中国の元、明、清及び近代の書画や日本の室町、江戸時代以来の書画などを鑑賞した。
歓迎晩会の冒頭、林同春氏ら懇親会の設立と発展に尽力した同郷先人たち及び能登震災の犠牲者の方々へ黙祷が捧げられた。次いで、琵琶演奏家涂善祥氏の情緒溢れる演奏が披露され、好評だった。
席上、石川福建同郷会会長で、今大会委員長の魏賢任氏が歓迎の挨拶に立ち、各地から参加の同郷に熱烈な歓迎の意を表すとともに、19年前の2005年の第45回金沢大会に次ぐ今大会開催に至る経緯を紹介し、また“今年一月の能登半島地震に際しては、各地同郷会と同郷の皆様から多くの支援と激励の電話など温かいお心をお寄せいただいた”と述べ、感謝の意を表した。
神戸福建同郷会の王鋭輝会長が、大会に寄せられた郷里―福建省、福州市及び福清市各僑務部門からの祝電を紹介し、次いで熊本福建同郷会の林祥増会長が、昨年の熊本大会への同郷各位の協力に謝意を述べるとともに“私たちは引き続き先人たちの互助互済・中日友好発展の精神を継承し、次の世代に引き継いでゆこう”と述べた。
留日福建同郷会の謝忠勇会長が今大会の成功裡開幕と同郷各位の健勝を祝して乾杯発声の音頭をとった。宴席では、「百華美術館」館長の韓学中教授の即席書と著名な画家胡永凱氏の即席画のみごとなパフォーマンスもあり、参加者たちは和気あいあい歓談会食の楽しいひと時をすごした。
翌28日、参加者たちは日本三大庭園の一つ「兼六園」と金沢城を訪れ、また金沢文化を代表する「東茶屋街」の散策を楽しみ、
菜香楼新館での昼食会では、魏会長の母や林同安事務局長夫人らが特別に調理した心尽くしの“福清蕃薯丸”や“福清海蛎湯”などふる里の味の手厚いもてなしに大いに食欲をそそられていた。午後には能美市の有名な「九谷焼美術館」を参観した。
同日夕、参加者たちは2日目の宿泊先「山代温泉みやびの宿・加賀百万石」に移動。早速、記念集合写真撮影が行われ、引き続き福清黄檗文化促進会の林文清会長が、江戸初期、日本の招請で渡日し、宇治黄檗山万福寺の開祖となり、黄檗宗を日本に広め、日本文化の発展に貢献した郷里―福建福清出身の高僧隠元弾師の業績について講演した。
歓送宴の開宴に臨み、別宮浩孝横浜福建同郷会会長が乾杯の音頭をとり、陳隆進日本華僑華人聯合総会会長が、大会の成功を祝し、“この意義ある福建同郷懇親大会の歴史、伝統を継承するに、在日新旧華僑華人の融合協力は必要不可欠であり、新しいものは古くなり、古くなったものは新しくならない、故に新旧華僑華人は共に助け合いの精神を受け継ぎ、次期第64回大会以降、各地福建同郷会の強固な団結をもって、37年後の百周年福建同郷懇親大会を迎えられるよう心から願う”との祝辞を述べた。
開宴早々、舞台では小学生による勇壮で力強い和太鼓の演奏があり、その見事なバチさばきに会場から大きな拍手がおくられた。
宴半ばには今大会に参加した80歳以上の同郷20余名一人ひとりが紹介されて登壇し、魏大会委員長より長寿を祝う紅包が贈られた。宴席は“一辺吃、一辺談”という具合で盛り上がる中、大会旗と鍵の引き継ぎ式に移り、次期大会担当の神戸の同郷たちが登壇し、大きな拍手の中、魏委員長より王鋭輝会長へ大会旗と鍵が手渡された。
席上、来春の第64回大会は4月中旬、郷里福建省福清市で四泊五日の日程で開催されることが発表された。宴もたけなわとなる中、林唯史福岡福建同郷会会長による三三手拍子の締めで御開きとなった。
大会最終日の29日は晴天に恵まれ、参加者たちは3台のバスを連ねて午前中、福井県の曹洞宗大本山の永平寺を参拝したのち、福井駅に移動し、海鮮昼食をすませたあと、大会は現地解散となった。今大会を通じて同郷の誼を一層深めあった参加者たちは、たがいに来春の福清大会での再会を約して帰途に着いた。
金沢大会散会後、留日福建同郷会の会員ら15名は、福井、富山、立山・黒部アルペンルートをまわる三泊四日の旅を満喫して11月1日帰京した。
能登震災で倒壊の中国殉難烈士慰霊碑再建へ
大会期間中、石川福建同郷会より、七尾港にある中国人殉難烈士の慰霊碑(2005年金沢大会時に各地同郷会と僑胞有志らの寄付により建立)の主碑にあたる1977年建立の「一衣帯水」(趙朴初先生の親筆)の石碑が、先般の能登震災で倒壊したため、同会が倒壊石碑の再建に取り組んでいる旨の報告があった。
慰霊碑概要
・名称 中国人殉難烈士慰霊碑
・建立年 2005年(平成17年)
・所在地
石川県七尾市群町2-113-1
・慰霊碑維持管理
石川七尾日中友好協会
・慰霊祭主催
石川七尾日中友好協会
・慰霊祭開催時期
毎年8月15日
慰霊碑概要
・名称 一衣帯水の碑
・建立年 1977年(昭和52年)
・所在地
石川県七尾市群町2-113-1
・慰霊碑維持管理
石川七尾日中友好協会
・慰霊祭主催
石川七尾日中友好協会
・慰霊祭開催時期
毎年8月15日
再建費用はおよそ300万円が見込まれることから、同会より募金協力の要請があり、大会参加者の賛同と協力を得て、会期中参加者対象の書画のオークションと募金活動が行われた。この結果、オークション収益と募金協力額の合計が目標額を達成し、来春にも主石碑の再建が実現する見通しとなった。
この朗報が歓送宴の席上参加者に伝えられると、会場は大きな拍手に包まれた。